日本は古くからのさまざまな習慣を生活の中に残して現在まで受け継いでいるものがあります。
その中の一つに「厄」というものがあり、これには「厄除け」「厄払い」「厄落とし」などの習慣があります。
目次
「厄除け」「厄払い」「厄落とし」の違い
ですが、いざこれらの単語を聞いた時に「これらの違いって何?」と悩んでしまうこともあるのではないでしょうか?
そこで、厄除けと厄払い、それと厄落としそれぞれの意味について解説していきます。
厄年と、それを回避する方法
日本には古くから「厄年」という概念があり、これに基づくさまざまな風習・習慣が受け継がれています。
さて、厄年による災いを回避するためには「厄除け」をするというのが一般的な考え方だと思われますが、これには他にも「厄払い」や「厄落とし」といった似たような単語があります。
日本には、同じ意味合いでも異なる言い方をする言葉が少なくありませんが、厳密には異なる意味を持つ言葉も多いことがあります。
では、厄除けと厄払い、厄落としにはそれぞれどんな意味があるのでしょうか?
「厄除け」の意味
まずは「厄除け」の意味から解説していきます。
厄除けとは、「災いや厄が自分に降りかからないように、神様位に守ってもらう」という意味があります。
つまり、神様に守ってもらい、厄が降りかからないようにするということです。
日本には、厄除けができる神社やお寺がいくつもありますので、近くの神社やお寺で厄除けを依頼することができます。
また、一時的なものではなく、いわゆる「厄除けグッズ」を入手することで、これを身につけるなりして厄がさらに降りかからないように守ってもらうこともできます。
「厄払い」の意味
次は「厄払い」の意味について解説します。
厄払いは、既に降り掛かった災いや厄を感じた際に、その災いや厄の原因となっている事柄・事象を取り除いてもらうことを言います。
そのために、神社やお寺で「お清め」「お祓い」をしてもらうことを意味します。
つまり、「厄除け」が「厄の予防」であるのに対して、厄払いは「厄の治療」に該当すると言えます。
また、通常は元旦から節分までに行うことが良いとされています。
「厄落とし」の意味
最後は「厄落とし」の意味について解説します。
厄落としは今までの厄対策とは異なり、「自分から大きな災いや厄を作り出す」ことを意味します。
これに何の意味があるのかと言えば、大きな災いや厄を自ら引き込むことで「その年の厄を全て降り掛かったことにする」という意味があります。
これにより、その年はそれ以上の厄が降りかからないようにして、厄対策とするのです。
では、どのようにして厄落としをするのかと言えば、例えば「お金が入ったお財布をわざと落とす」「何らかの方法でわざと風邪をひく」と言った方法でも厄落としになる場合があります。
上記の例で言えば、この方法は「荒療治」と言えます。
要するに、わざと厄が降りかかるようにして、その年はそれ以上の厄に見舞われないようにするということなので、「毒をもって毒を制す」といった言い方も正しいのでしょう。
言葉のニュアンスから見ると「厄払い」と同じように見えるのですが(ホコリを払う、落とすが同じようなニュアンスであるのと同じように)、実際には全く異なる意味を持つということになります。
「自分の体から厄を払う」ことと「自分の体に厄を落とす」ということで覚えておくと覚えやすいのではないかと思います。
地方によって言い方や意味合いが異なる
もう一つ注意したいポイントとしては、厄除けや厄払い、厄落としは「地方によって言い方や意味が異なる」ということです。
上記で説明したものはあくまでも「一般的な考え方」であり、地方により特有の風習がある場合にはそれぞれの意味を持つ厄対策の名称が異なっていたり、同じ言い方でも異なる意味で用いられることもあるということです。
特に、神社やお寺でこれらの行動を依頼する場合、その地方や宗教などによって言い方が異なれば、望む効果とは異なる結果をもたらされる可能性すらあります。
極端な話、厄が降りかからないように守ってもらう「厄除け」の意味で依頼して、厄が降りかかる「厄落とし」をもたらされるということになれば、真逆の結果が生み出されることになります。
神社やお寺に依頼する場合、「欲しい結果」についても十分に話し合い、望む結果をもたらしてもらうようにする必要もあるということです。
まとめ
- 日本には古くから「厄年」という概念がある
- 「厄除け」は、自分に厄が降りかからないように神様に守ってもらうことで、そのためのグッズも用意されていることがある
- 「厄払い」は既に自分に降り掛かっている厄をお祓いしてもらうことで、一般的に節分までに行うことが良いとされてる
- 「厄落とし」はわざと自分に厄が降りかかるように仕向けて、それ以上は自分に厄が降りかからないようにする方法である
- 地方や宗教によって厄対策の名称や意味が異なるので、誰かに依頼する場合などは特に注意が必要になる。